2009.11.10 Tuesday
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黒き影に抱かれて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション) 布施 由紀子 二見書房 2008-11-20 by G-Tools |
「きみはわたしの女王だ」 彼はかすれた声で言った。「ただひとりの主君だ」
エレインは子供のようにうれしそうに小さな笑みを浮かべると、彼のてのひらに顔をあてて目を閉じた。彼はふたりの息がまじりあうのを感じ、彼女の髪の感触と、無条件の信頼をこめて押しつけられた頬の感触を味わっていた。
征服されたのだ、わたしは。何千もの軍勢にまさる力で。
祖国と教会から追放された暗殺者(属性M)と公国唯一の公位継承者である少女(属性S)のお話。
京極夏彦並の文庫本の厚さで総数742ページ。私のキュンどころを巧みにつつきまくる読み応えたっぷりの歴史ロマンス小説でした。主従ものにはほんと為す術がねーよ。
エレナの真性Sっぷりには最初引いてびっくりしたけど、アレグレートのMっぷりに対しては理解できるというか、神への愛のためにすすんで血と魂を捧げて鞭打たれたキリストと同じようなことなんだろうな、と思うとむしろ切なかった。倒錯的というよりは、贖罪であって、もっと敬虔な意味合いが強い感じがしました。
文中でエレナが、アレグレートを「自分の愛する者のために、すべてを――自分の魂さえ捧げ、なんの見返りも受け取らなかった男」と表現する言葉があるけど、まさにそのとおりだなあ、と。
最後、アレグレートが教会で赦しを乞うシーンはもう、切なすぎる…! ちょ、全米が泣いた。
「もうわたしには心がない」と言うアレグレートに、「いいえ、あるわ。わたしがあずかって守っているから」とまっすぐに答えられるエレナの強さとやさしさも素晴らしかったです。
あと個人的にダリオもお気に入り。護衛バカっぷりがなんともいえずツボだった。
A vila mon Coeur. Gardi li mo.
“よく守りたまえ”って言葉、いいなあ。
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